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辻子ピザ「交層焼」誕生!

Feel°C Walk を重ねて発見した逗子のコンセプトをピザで表現

逗子を歩いて「地」図をつくり、「知」図にしてゆく。逗子の地名の由来やら、地層の動きやら、多様な人々の交差し、決して美しいことばかりではない歴史やらが見えてきた。

そこで、感覚で味わう「知」図をつくることにした。

料理で表現して逗子を本当に味わって実感しようというわけだ。

おっちゃんが逗子を歩き回った末、現時点でたどり着いた逗子のコンセプトを表したピザをつくる。

なぜピザ?

トッピッグするものや、模様で、食べられる「地」図を描きやすいと思ったからだ。

さて、どんなピザにするか。レシピを考える。

私が逗子の最大の特徴だと思ったのは、古代から中世、近世、そして現代までの時の層が同時に見えるというところ。それをピザの生地で表現したい。そこで、春巻の皮を使うことにした。

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皮を巻かずに「正方形」のまま使う。形がそのまま地図に見えてきた。

何枚かの春巻の皮を層にして、間に逗子をイメージする食材をはさむ。時の層と空間の層を同時に味わうピザだ。薄い皮が焼きあがると軽くさっくりという味わいになるはず。それは逗子人の気質と重なるという意味もこめた。

次に、何をはさみ、のせるか。

「辻子」が4つの方向からやってくる道の交差点ならば、やはり4つの要素を盛りこもう。

まず、伊「豆」からの魚介類が仲立ちとなった街なのだから、相模湾の魚介類をのせよう。

次に、逗子の自然・風土を表したい。海と山がともにあるから、トットちゃんではないが、海のものと山のものをのせよう。

あとは、貴賎を問わず、多様な人たちが交わるということをどう表すか。気どらずに、ゆるく半端につながる感じ。そうだ!冷蔵庫とかに忘れられ放置されたものに脚光を当てよう。

こんなことを仕事帰りの横須賀線の中でメモった。

もう日の暮れた逗子の駅前。スズキヤに立ち寄って材料を仕入れることにした。たまたま目に入って、直観的にこれだと思ったものを選ぶことにする。

まずは鮮魚コーナー。

伊豆でとれた魚を探したが残念ながら今日はない。小坪漁港直送のタコが今日の目玉だと書かれたポップが目に入る。よし、これも何かの縁。材料選びも気の向くままに connecting dots。相模湾の魚介類は、小坪のタコに決定。

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タコの横をひょいと見ると、小坪のアカモクを煮たお惣菜を売っている。水道路にある「新道亭」製の「小坪煮」。逗子名産として売り出し中のアカモクに新「道」。いいじゃないか。「海」のものはアカモク煮に決定。

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次は「山」というか「陸」のもの。アカモクのしゃっきり感と粘りに合わせるとしたら何がいいか……

野菜のコーナーに行くと、目に入ったのが「おかひじき」。本物の海藻と海藻もどきの陸の植物とのコンビネーションがなんか面白い感じがする。アカモクはご飯のお供になるように濃い目の味で煮てあるので、単独ではしょっぱすぎる。食感の似ている両者を混ぜて使うことにしよう。

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おかひじきの近くに蓮根があった。「新物」と書いてある。あれ?蓮根の旬は冬ではないか。茨城ではハウス栽培の蓮根を通年で栽培しており、この時期に年度初めの出荷がなされるそうだ。茨城からやってきた蓮根。沼地の多かった逗子のイメージにぴったりだ。よし蓮根ものせよう。

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基本、サクッと、シャキッとで、タコの歯ごたえという面白い食感が楽しめそう。

これで基本材料はそろった。後は、家にある残り物をつけ加えればいいだけだ。

冷蔵庫を開けると、中途半端に残ってずっと放置されて使われないピザ用チーズがあった。これは使わせてもらおう。

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床下を見たら、使わないまま忘れられたバリラのジェノベーゼソースがある。タコにはぴったりではないか。なんとなくイタリアンな逗子の海につながる(そもそもピザと言っている時点でイタリアンなのだが……)。

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では、おっちゃんTQ Feel°C Walk in 逗子のイメージを味にしたピザを作ることにいたしましょう。

おかひじきはさっと茹でて、細かく刻みます。

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アカモク煮とおかひじきを混ぜます。

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蓮根は、薄くスライスし、さっと炒めます。沼地でもしっかり育つ蓮根のたくましさに、人生の厳しさを加味するために唐辛子を入れてスパイシーな味にします。

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タコもスライスしてジェノベーゼソースで和えます。

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あとは春巻の皮の上にトッピングしてオーブンで焼くだけ。

 

一番下の層には、海のものと山のもの、アカモク煮とおかひじきをのせます。

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逗子の森をドローンで眺めている感じがするではありませんか。

次の層には、蓮根を載せます。

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沼地の方が砂浜や、森より下の層かなとも思いましたが、真ん中にサクッとくる層があるといい味わいになるかなと判断しました。

 

並んだ蓮根の穴がつくりだす模様が、いろいろな人の顔のシルエットのように見えますね。

最後、一番上の層にタコを並べます。「辻」をイメージして十字に隙間を空けます。

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十字に交わる道は、残りもののチーズで舗装します。

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オーブンも熱くなっているようです。さあ、焼くことにしましょう。

焼きあがりはこんな感じ。「辻子」ピザのできあがりです。

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切り分けてみると層が重なっているのが見えます。

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では、食レポ開始!

上の生地はカリッとしていますが、一番下の生地は、おかひじきの水分を吸ってちょっともっちりした感じです。アカモクとおかひじきのシャキっとした食感と、蓮根のサクッとした食感がマッチして、モチ、シャキ、サク、パリのハーモニー。そこにジェノベーゼ風味のタコの歯ごたえが加わります。これは伊豆または相模湾でとれた白身魚、青魚でもいける感じがします。その時はジェノベーゼのような風味のしっかりしたソースではなく、オリーブオイルとソルト&ペッパーぐらいの味つけにしたらいいかなと思いました。

 

こりゃあなかなかいけますぞ!

こうしたレシピは、歩いて、感じたことから生まれたもの。料理が先にありきではない。だから、面白い、独特のレシピが生まれてしまう。これこそ Feel°C Walk の面白さであり、「知」図づくりの醍醐味だ。

ピザも「知」図の一つになるということが納得いただけたのではないか。

最後に、このピザに名前をつけよう。そのために用いるのが漢字ピラミッド。以前、横浜や中野で「その町らしさを表す餃子」をつくった時に生まれたツールだ。

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歩いて、「知」図をつくって浮かび上がったことを3つの要素

歩いたからこそ思いついたこと=Inspiration

食べた人に感じてもらいたい町の情緒=Emotion

そして、作る料理の特徴=Contents

で整理し、それぞれ漢字一文字で表す。するとそれが街と料理のコンセプトとなり、料理の名称にもなる。

中野を歩いた後は、餃子をつくったのでこんな漢字ピラミッドになった。

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この例に習って、今回の「辻子ピザ開発」も漢字ピラミッドで表してみよう。

私が食べた人に感じてもらいたいことは「層」になっていること。いくつかの層になって重なりあった食感と食材を味わうことで、逗子の街の時の層を感じてもらいたい。

次に、歩いていて思いついたことは、人々が「交」じり合っている「交」差点、中継点として発展し、今もあるということ。「結」や「繋」のような強いつながりではなく、なんとなく交じりあっている。そんな感じでおかひじきとアカモクも「交」ざっている。

つくった料理は「ピザ」だったので「お好み焼」「もんじゃ焼」と同類なので「○○焼」とネーミングするのがよいだろう。

こうして生まれたコンセプトを漢字ピラミッドで表すと

交層焼

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「ずしこーそーやき」

 

なんかいい響きじゃないか。まだ春巻の皮が残っているから、別バージョンの「交層焼」をつくってみよう。

どうです。なかなか面白いでしょう。

今度はみなさんと一緒に逗子の街を歩いて、「知」図をつくって、それぞれの発見やイメージを漢字ピラミッドでコンセプトにして、いろいろな辻子ピザ=○○焼をつくってみたいな!